海炭市叙景

映画が昨年末から公開中ですが、近くに着そうもないので、本屋で見つけた文庫本を読むことに。

函館市を基にした架空都市「海炭市」の市民の一こまを、
第一部冬9編、第二部春9編の物語。

構想としては、夏・秋も9編づつ書く予定だったらしいが、作者が自殺して半年の物語。

①有り金はたいて、朝日を見に山に登った兄妹。下りロープウェイ代が二人分ないため、兄が歩いて降りてくるということだったが、なかなか降りてこない兄を待つ妹。
②首都から嫁にしたい女の子を、実家に見せに来て帰る男。
③首都から、Uターンしてきた男が実家から家族を連れてアパートに引っ越す日だが、荷物が来ない。
④プロパン屋が考え事をして、プロパンボンベを足に落としてしまい、爪を割ってしまい、その治療を胡散臭く見ていた、チンピラとその女にしてもらい帰ると、義母に虐待されている息子。③の男から供給依頼が来ているのに、忘れている。
⑤引越ししたアパートのとなりの部屋の女の喜声を、毎夜聞いている中学生が、初めてずる休みして好きな切手を買いに出かけた話。
⑥海峡の向うから出稼ぎに来て、パチンコ店で住み込みで働く、訳ありの匂いがする男と、一緒に住んでいるヤクザの世界に入ってしまいそうな若者、そしてパチンコ屋屋の支配人。
⑦路面電車の運転手、娘が子供を出産するかも知れない、週末の仕事の話。
⑧首都から来て、祖母が住んでいた町にきた男。最初は女を買う予定できたが、やめて店で飲んでいた。閉店時に、船乗りが来て、飲ませろやらせろと迫るが、なだめて一緒に帰る話。
⑨海とは逆方向の、町外れの墓地公園に勤める女。マネージャーと体の関係となってしまったが、あとは音楽を聴きながらの毎日。

⑩職業訓練所に通い寮入っている40代の男。当然周りから浮いているが、酒を飲んで気を紛らわしている。我慢して、手に職を持とうとがんばっているんだ、酒くらい飲んで悪いか、そして気が向いたから車で妻の待つところに帰って悪いのか!
⑪応援している地元出身のプロ野球選手を考えつつ、朝野球をプロが試合する大きい球場でやりたい男。
⑫産業道路沿いに残る、昔からの農家の御婆さんとその家族の話。
⑬競馬に狂ってしまってサラ金まみれになった妻子ある男。
⑭空港のレストランで働く、高校中退のバイクの後ろに乗るのが好きで、首都に行くのが夢な女の子。
⑮市営プラネタリウムに中途で働く、男性。家のローンとかで、妻を夜働かせたが、男ができたみたいで、昔子供とクワガタ取りに行った森に行ってみるが、出られなくなる話。
⑯役所に働く男。文化的な生活を送っていると思っているが、傍目からは周りを良く見ていない出世しない男。
⑰仕事を休んで、大麻を取りに行いったが見つからない夫婦の話
⑱首都からもうすぐ売る予定の親の別荘に来たが、隣の家の女性達からは丸見えだった。

映画は①④⑧⑫⑮を元に作っているらしい。

人はダブっていないが、場所は③④⑤がダブっていたり、⑨と⑱が近い位置関係、産業道路等実際にあるものとダブっている。
これから、どういう人たちをどういう場所の物語を紡ぎだしていこうかと考えていたのか、気になるところです。



今後同大の場所

移転改装準備中 「関心空間」という場所で登録していた、気になるものを登録紹介していましたが、閉鎖に伴い移動?

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